現役世代、必見! おひとりさまの実録シニアライフ
2019.9.18

#3 パートナーはもういらない? バツありシニア・定年後の本音
定年後のおひとりさまシニアは、どんなライフスタイルを送っている? ひとり暮らしのお金の心配ごとは? 人生100年時代と言われるいま、長い目で見れば、誰しも可能性のある「老後のひとり暮らし」。この企画では、意外と知る機会の無いその実態を、実際にひとり暮らしをするシニアの方への座談会を通じて、解き明かします。
第3回は、離婚経験があるシングル男性4名が登場。
「一度は家庭を持った身なら、おひとりさまの老後をいっそう寂しく感じるのでは?」と思いきや、案外そうでもないようです。
第3回は、離婚経験があるシングル男性4名が登場。
「一度は家庭を持った身なら、おひとりさまの老後をいっそう寂しく感じるのでは?」と思いきや、案外そうでもないようです。
- 70歳。メーカーを60歳で定年、再雇用で4年間働いたのち退職。持ち家あり。公的年金のほか、企業年金や持ち株の配当収入あり。多趣味で、自転車は22台保有。
- 80歳。金融、コンピューター関係など職を転々とし、54歳で一度会社を退職後、人材開発会社で3年勤め、退職。その後起業するもうまくいかず、現在は年金暮らし。老人ホームや生涯学習センターでボランティア活動を行っている。
- 63歳。病院に勤め、60歳で定年退職。現在は年金暮らし、持ち家あり。離婚してまだ1年余り。土いじりが趣味で、犬と散歩するのが日課。
- 64歳。40代での離婚をきっかけにタクシー運転手に転職。長く働くつもりだったが、病気のため60歳直前で退職。今は企業年金で生活。賃貸暮らしということもあり、今後の生活には不安がある。
ひとりは気楽! 退職後の独身生活を謳歌中

−最初に、定年後の毎日の過ごし方について教えてください。結婚されていた分、家族が側にいない生活がより寂しく感じるのでは…なんて思ったのですが。
- いいえ、やることが多くて忙しいので、寂しいと思う暇なんてないですよ。昔からアウトドア派で、スキーやセーリングに出かけていました。最近の趣味は自転車で、22台持っています。
組み立てから全部やるんですが、どんどん部品がたまっちゃって。
他にもオーディオの基盤を設計して自分で組んでみたり、家電を修理したり。近所の人からも修理を頼まれるので人と接する機会も多いですし、本当にいくら時間があっても足りません。 - 僕は毎月2回ほど、生涯学習センターでボランティア活動をしています。70〜80代の人たちに向けて、脳を活性化させる「脳活」をテーマにした話をしたり、クイズをしたり。次回は何を話そうか、どんなクイズにしようかとあれこれ考えていると、自分への刺激にもなるし、ボケませんよ(笑)。
- お二人はアクティブですごいな。逆に、僕は定年でひとりになれたことが嬉しいんです。前職は病院勤務で、いろんな患者さんたちを見てきたから、人と関わることがストレスになっていたのかもしれないなあ。
「定年後は孤独」なんて言いますが、人と会わない方が、僕は気持ちが安らぎます。一人黙々と土いじりをするのが性に合っていて。あとは、犬を連れて川べりの公園で1日のんびり過ごしています。植物と犬、どっちも人じゃないのがいい(笑)。 - それ、よくわかります。私も定年前はタクシー運転手だったこともあり、人との付き合いは、今はほどほどにしています。辞めてしばらくは他人と話すのも面倒でしたね。
ただ、ストレスはたまるので、そういう時は趣味の釣りに行っています。とはいえ、釣る魚にあわせて竿や道具を揃えたり、釣り場に行くのに交通費やら船代やらと結構お金がかかる道楽なんで、最近は半年に1回程度しか行きませんけどね。
離婚で、思いがけないお金の落とし穴も…

− なるほど、皆さんの定年生活は孤独とはまるで無縁のようで、恐れ入りました。奥さまと別れた事情はそれぞれだと思いますが、「離婚したことで老後のお金の予定が想定外に変わった」ということはありましたか?
- 特にはないですかね…。自分はもともと、宵越しの銭は持たない性格で、お金が入ればパッパと使っていました。きっと、それも離婚の原因になったんでしょうね。結婚していた間もその後も、そういう性格は変わらないな。本能のまま生きているというか。そのせいで、離婚云々は関係なく、老後のための蓄えはほとんどありません(笑)。
- 僕の場合、受け取るはずだった年金が予定より減りました。自分が離婚したのは年金分割制度ができた直後で、結婚していた期間の厚生年金を夫婦で分けなきゃいけなかったんです。妻がその時期を狙っていまして(笑)。
もめるのは嫌だったので、50%を分割することで合意しました。かなりの額を相手に渡すことになりましたが、まあそれでスッキリしましたよ。 - 僕は、二世帯住宅を建てるつもりで広い土地を買った後に離婚が決まり…。その土地と結婚後に建てた今の家との二軒分を一人で維持しなくてはならず、それが大変でした。さすがにこのままでは厳しいと思って、土地の方を売りに出したんですが、すぐには売れず…。最近、ようやく手放すことができましたが、予定外の出費となってしまい、これは誤算でしたね。
年金だけだと正直きびしい、現役時代からの準備が分かれ目

−もう少しお金のお話を聞かせてください。現在の生活費は年金だけで足りているのでしょうか?
- 自分は、あれば使ってしまうので、70歳までは働いて稼ぐつもりでした。でも目の病気になってしまい、10年も早く退職せざるを得なくなり…。辞めてからの求職活動もうまくいかず、正直、受け取っている企業年金だけでは苦しいです。現役時代の収入想定のまま家賃が高い部屋に住んでいるので、それもきつい。でも、仕事がないのに引っ越しもできないから、住み続けるしかない。それでこの前、大家さんに頼んで家賃を下げてもらいました。まあ、なんとかやっていくしかないですね。
- 僕は公的年金だけでやっています。定年してから、老後のためにと退職金と企業年金を使って事業を起こしたんですが、見事に借金を負ってしまい…。友人の商売を手伝わせてもらって、なんとか挽回しましたが、妻は出て行ってしまいました。これまでの人生を振り返ると、貯まったと思えばなんだかんだお金が出ていくイベントが起きる。その繰り返しでね。まあ、健康であれば余計なお金もかからないかと思って気をつけていますよ。病気やなにかをすると、ちょっと心配ですけどね。
- 今は年金を受け取っていますが、それ以外にも蓄えはあります。退職金もまるまる残っていますし。現役時代はとにかく仕事が忙しくて、お金を使う暇がなかったんです。盆暮れの休みもなかったし、月の1/3から1/4は職場で寝泊まりしていたんじゃないかな。そんな現役時代のおかげで、今はお金に苦労せず暮らせています。
- 自分も、収入には余裕がありますね。企業年金は元妻に分割しましたが、その残りと持ち株制度の配当があり、公的年金と合わせて月20万円以上は入ってきますから。40代のうちに家のローンも返済し終えたので、今は趣味を楽しみながらそこそこの暮らしができています。
定年後に大事なものは、パートナーよりも友達

−やはり現役時代にある程度の蓄えをしておいたり、企業年金などの上乗せがあると、定年後に余裕ができるのですね。とはいえ、これからもまだ人生は続きます。この先、再婚の願望はないのでしょうか?
- 24時間、人と生活を共にするのはもう難しいかな。一人になってから料理を始めて、キッチンのリフォームもしたんですが、よく家族はこんなに使いにくいキッチン使っていたもんだと(笑)。だから、自分が使いやすいように全部変えていきました。お金の使い道を好きに決められるのもひとり暮らしのメリットですよ。
- それにね、年を取ると男女でしたい事の方向が違ってくると思うんですよ。ボランティアでお話する男女を見ていてそう感じます。男性はどちらかというと内向きで、家にこもってのんびりしたい、女性は旅行に行きたいとか流行っている店に出かけたいとか、外向きになる。そこがうまく合わないんですよね。
- 自分は外向きの方だな。趣味を通じて新しい友達がどんどんできているから。ガレージで自転車を修理していると、知らない人からも声をかけられるんですよ。「自分のも直してくれ」ってね。それでまたつながりが増えていく。
- たしかに、この年になると大事なのは人間関係、人脈だなと思いますね。現役時代からいろんな人と出会っておくと、後々までも付き合える。親友みたいな深い間柄じゃなくても、気軽に「今日会わない?」と電話できる相手がいれば、年をとっても引きこもりにならないし、性格も穏やかでいられる。生活も次第に外向きになっていくんじゃないかな。そういう付き合いを大事にしたいですね。
※ 2019年9月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
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